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スマホを本人に操作してもらうのではなく、いつもの固定電話を専用アダプタとスマホ回線につなぎ、かけ放題・発信制限・着信拒否を両立した方法を新しい記事で紹介しました。
認知症の家族から、夜中に何度も電話がかかってくる。電話を切って数分後にまた鳴り、朝まで続くこともあります。本人を責めたくはない一方で、家族の睡眠や仕事、健康も守らなければなりません。
我が家でも、一人で過ごす夜になると不安が強くなり、同じ相手へ短時間に何度も電話をかける時期がありました。壁に大きな注意書きを貼る、電話の使い方を説明する、毎回応答するといった方法を試しましたが、うまくいかないことも少なくありませんでした。
この記事では、家族の実体験をもとに、夜間の繰り返し電話に対して実際に行った工夫をまとめます。認知症の症状や生活環境は一人ひとり異なるため、すべての家庭に同じ方法が合うとは限りませんが、対策を考える際の参考になれば幸いです。
なぜ夜中に何度も電話するのか
電話の内容が同じでも、背景にある気持ちは毎回同じとは限りません。「一人でいるのが怖い」「今が何時か分からない」「家族がどこにいるか確認したい」「伝えたことを忘れてしまった」など、複数の理由が重なっていることがあります。
認知症では、不安、不眠、睡眠と覚醒のリズムの乱れ、同じことを繰り返し尋ねる行動などが見られることがあります。本人にとっては、電話をかけるたびに「初めて確認している」感覚である場合もあるため、「さっきも言ったでしょう」と指摘しても解決につながらないことがあります。
まず今夜、確認したいこと
最初に、単なる繰り返し電話として処理してよい状態かを確認します。電話に出たら長い説明を始める前に、転倒していないか、痛みや息苦しさがないか、家の中で困っていることがないかを短く尋ねます。
- 転んだり、けがをしたりしていないか
- 強い痛み、息苦しさ、発熱などがないか
- トイレ、水分、空腹、室温などで困っていないか
- いつもと比べて急に混乱が強くなっていないか
- 自宅の外へ出ようとしていないか
明らかな異常がある場合や、電話だけでは安全を確認できない場合は、近くの家族や支援者に確認を依頼する、医療機関へ相談するなど、電話回数を減らすことより安全確認を優先します。
対策1:返事を短い定型文にする
毎回違う説明をすると、家族側も疲れ、本人も情報を整理しにくくなります。我が家では、電話に出たときの言葉をできるだけ同じにしました。
「大丈夫だよ。今は夜だから、もう寝て大丈夫です」
「明日の朝、こちらから電話します」
「お水を一口飲んで、布団に戻りましょう」
事実関係を細かく説明するより、「安全であること」「次にいつ連絡するか」「今すること」の3点を短く伝える方が、会話を終えやすくなりました。
対策2:電話の内容と時間を記録する
数日間だけでも、電話が来た時刻と内容を記録すると、繰り返しやすい条件が見えてくることがあります。「夕食後」「家族が帰宅した後」「入浴しなかった日」「昼寝が長かった日」など、生活との関係も確認します。
| 時刻 | 電話の内容 | その日の様子 | 対応結果 |
|---|---|---|---|
| 22時30分 | 明日の予定確認 | 昼寝が長かった | 朝に電話すると伝えた |
| 23時10分 | 家族の居場所確認 | 一人で過ごした夜 | 安全を伝え通話終了 |
記録は、かかりつけ医やケアマネジャーへ相談するときにも役立ちます。完璧な日記を作る必要はなく、時刻と要件だけでも十分です。
対策3:家族から電話する時間を決める
「いつ電話が来るか分からない」という不安が背景にある場合は、家族側から連絡する時間を決めます。我が家では、朝と夜など、可能な範囲で同じ時間帯に電話する運用へ切り替えました。
電話を切る前には、「次は明日の朝にこちらから電話するね」と毎回伝えます。本人が忘れてしまう場合でも、会話の終わり方を家族側で統一できるため、対応する人の迷いを減らせます。
対策4:夜の不安を減らす環境を作る
電話機だけを変更しても、本人の不安そのものがなくなるわけではありません。見やすい時計や日付表示、足元灯、飲み物、トイレまでの動線など、夜間に困りやすい部分を確認します。
- 昼間に無理のない範囲で体を動かす
- 長時間の昼寝を避ける
- 夕方以降の生活手順をなるべく固定する
- 時計、カレンダー、翌日の予定を見やすい場所に置く
- 夜間のトイレや水分補給をしやすくする
- テレビや大きな音など、夜の刺激を減らす
ただし、注意書きを増やしすぎると読まれなかったり、情報が多すぎてかえって混乱したりすることがあります。掲示する場合は、「今は夜です」「朝に電話します」など、一枚に一つの内容へ絞ります。
対策5:電話を着信中心の運用にする
電話の操作が難しくなった場合は、無理に発信方法を覚えてもらうより、家族からかける着信中心の運用が落ち着くことがあります。我が家でも、スマートフォンの操作説明や壁ポスターを試した後、最終的には「鳴った電話に出る」使い方へ寄せました。
ただし、発信手段をなくすと緊急時に助けを求められない可能性があります。近所の協力者、緊急通報機器、見守りサービスなど、電話以外の連絡方法も含めて検討する必要があります。
対策6:発信制限機能のある電話機を使う
我が家で使用した方法の一つが、固定電話機の発信規制機能です。PanasonicのVE-F39には、電話番号の先頭1桁または2桁を登録し、その番号から始まる相手先へ発信できないようにする機能があります。
また、特定のワンタッチダイヤルボタンについては、発信規制の対象外として登録できます。ただし、設定する数字によっては110番や119番などの緊急通報も発信できなくなるため、取扱説明書を確認し、家族が実際に動作を試してから使用する必要があります。
VE-F39を使った我が家の体験については、次の記事に詳しくまとめています。
対策7:家族側の対応ルールを決める
一人の家族がすべての電話に対応し続けると、睡眠不足や仕事への影響が積み重なります。「誰が何時まで対応するか」「何回続いたら別の家族へ交代するか」「どの内容ならすぐ現地確認するか」を家族間で決めておきます。
- 対応者を曜日や時間帯で分ける
- 家族内で同じ返答を使う
- 緊急と判断する条件を決める
- 夜間は着信音を調整し、対応者以外は休む
- 電話履歴や対応内容を家族で共有する
本人の不安を受け止めることと、家族が24時間応答し続けることは同じではありません。介護を継続するためには、家族が睡眠を取り、生活を守る仕組みも必要です。
我が家でうまくいかなかった方法
長い説明を繰り返す
状況を理解してもらおうと詳しく説明しても、電話を切った後に内容を忘れてしまうことがありました。説明は短くし、安心できる一言と次の連絡時間だけを伝える方が、家族側の消耗も少なくなりました。
注意書きをたくさん貼る
大きな文字で電話の注意事項を貼りましたが、我が家では壁の風景の一部になり、ほとんど読まれませんでした。掲示物を使う場合は内容を一つに絞り、目線の高さや照明も確認した方がよいと感じました。
毎回すぐに電話へ出る
すべての電話にすぐ応答すると、一晩中対応が続き、家族が疲弊します。安全を確認した後は、定型文で通話を終え、家族内で決めた運用へ移す必要がありました。
強く叱る
寝不足が続くと、「何度もかけないで」と強く言いたくなることがあります。しかし、本人の不安が強まり、さらに電話が増えることもありました。対応する家族が限界に近い場合は、その場で我慢を続けるのではなく、交代や外部相談を優先します。
医師や介護職へ相談した方がよい場合
夜間の電話が急に始まった、回数が急増した、昼間の様子も大きく変わった場合は、認知症の進行だけと決めつけないことが大切です。身体の不調、薬の変更、睡眠の乱れ、環境の変化などが影響している可能性もあります。
- 数日のうちに混乱が急に強くなった
- 昼夜が逆転し、ほとんど眠れていない
- 転倒、痛み、発熱、食欲低下などがある
- 幻覚や強い思い込みが増えた
- 家族の睡眠や仕事に深刻な影響が出ている
- 一人暮らしを続ける安全性に不安がある
相談先としては、かかりつけ医、認知症外来、担当のケアマネジャー、地域包括支援センターなどがあります。相談するときは、電話が来た時刻、回数、内容、昼間の様子、最近変わったことをまとめて伝えると状況を共有しやすくなります。
地域包括支援センターは、介護や認知症に関する地域の相談窓口です。所在地や認知症に関する相談先は、厚生労働省の 「認知症に関する相談先」 から確認できます。
まとめ
認知症の家族から夜中に何度も電話が来る場合、本人を叱って電話だけを止めようとしても、根本にある不安は残ります。まず安全を確認し、短い定型文、定時連絡、生活環境の調整、電話機の工夫を組み合わせることが大切です。
同時に、家族が眠れない状態を放置しないことも重要です。電話対応の分担や医療・介護への相談を早めに行い、本人と家族の双方が無理なく生活を続けられる形を探していきましょう。


